Article 細胞:分泌性転写因子が結核菌の病原性を制御する 2008年8月7日 Nature 454, 7205 doi: 10.1038/nature07219 病原細菌は、宿主細胞に出会うと、特殊化した病原性因子分泌系を始動させる。ヒトの結核を引き起こす結核菌(Mycobacterium tuberculosis)のESX-1タンパク質分泌系は、感染の際に細菌タンパク質を宿主細胞内へ送達し、病原性を発揮するのに重要であるが、これがどのように制御されているかはよくわかっていない。本論文では、EspR(別名Rv3849)がESX-1の主要制御因子の1つであって、マウスでの分泌と病原性に必要であることを示す。EspRは、3つのESX-1構成要素(Rv3616c-Rv3614c)を含む1つのオペロンの転写を活性化し、次に、これらのESX-1構成要素の発現がESX-1基質の分泌を促進する。EspRはRv3616c-Rv3614cプロモーターに直接結合して活性化し、意外なことに、EspR自体が制御するESX-1系によって細菌細胞から分泌される。このDNA結合型制御因子が細菌細胞外に排出されることで、Rv3616c-Rv3614cの転写が減り、その結果ESX-1からの分泌が低下する。今回の結果は、病原性に不可欠な分泌系の活性を制御する直接的な負のフィードバック・ループを明らかにしている。ESX-1系によって分泌される病原性因子は非常に抗原性が高いので、分泌の微妙な制御が感染の成功に重要であるのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る