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細胞:CDK振動子とネットワーク振動子の組み合わせによる、細胞周期に合わせた転写の全体的制御

Nature 453, 7197 doi: 10.1038/nature06955

出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)ゲノムのかなりの部分は、細胞分裂周期の間に周期的に転写されており、適切な時期に起こる遺伝子発現が細胞周期の諸現象の調節に重要なことを示している。転写因子の局在位置や発現の動態のゲノムレベルでの解析から、細胞周期の間の転写の時間的プログラムは、順を追って発現される転写因子のネットワークによって制御されている可能性が示唆される。しかし、少数の遺伝子に着目して詳しく調べた研究は、その周期的転写はサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の活性に支配されていることを示している。細胞周期に合わせた転写プログラム全体が、サイクリン-CDK複合体によってどの程度まで制御されているかを明らかにするため、S期サイクリンと有糸分裂サイクリンを発現しない出芽酵母変異体を用いてゲノム規模での転写動態を調べた。本論文では、周期的に発現する遺伝子のかなりの部分が、このサイクリン変異体では発現が異常になることを示す。サイクリンをもたない細胞はG1/S期境界で停止するが、周期的に発現する遺伝子の70%近くが、周期的にかつスケジュールに従って発現し続ける。これらの知見は、CDKは細胞周期に合わせた転写の調節機能はもっているが、全体的な周期的転写プログラムを確立する役割はCDKだけが担っているのではないことを示している。周期的転写は、CDK振動子とは関係ないが、それと連携して細胞周期振動子として働く転写因子ネットワークの創発特性であると考えられる。

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