Letter 気候:過去80万年間における大気中メタンの軌道スケールと千年スケールの特徴 2008年5月15日 Nature 453, 7193 doi: 10.1038/nature06950 大気中のメタンは重要な温室効果ガスで、気候変化と千年スケールの気温変動を示す感度の高い指標でもある。過去65万年間のメタンの濃度は、氷期の約350 ppbvから間氷期の約800 ppbvの間で変化していた。それに比べて、現在のメタン濃度は約1,770 ppbvであると報告されている。温暖化した世界におけるメタン収支予測には、大気中のメタンを制御する外部の強制要因と内部のフィードバックに関する考察が重要である。本論文では、温室効果ガスの記録を80万年前にまで拡大する、EPICAドームC氷床コアから得られた大気中メタンの詳細な記録を示す。この新たなデータの平均時間分解能は約380年なので、軌道スケールと千年スケールの特徴を把握することが可能になる。スペクトル解析の結果、大気中メタン濃度の長期変動は、ほぼ40万年前までは約10万年の氷期・間氷期サイクルが支配的で、より近年の4回の気候サイクルでは歳差成分の寄与が増大していることがわかった。これらから、おそらくモンスーンシステムの変化と熱帯収束帯の位置変化の影響を受けた、熱帯のメタンの生成源と吸収源(湿地、大気による酸化)の強さの変化が、大気中のメタンの収支を制御していて、北半球の氷床の後退により氷河周辺の湿地が広がり、より多くのメタン放出が可能となったために、主な退氷期には新たな供給が加わったことが示唆される。我々の記録から見つかったメタン濃度の千年スケールの変化は南極大陸の同位体極大事象と関連しており、これは過去の8回の氷期サイクルにおいて、千年スケールの気温変動が広い範囲にわたって起きていたことを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る