Letter

気候:北大西洋域における10年スケールの気候予測を進歩させる

Nature 453, 7191 doi: 10.1038/nature06921

北大西洋域の気候は10年スケールで変動し、社会に大きな影響を及ぼす。その顕著な例は、大西洋におけるハリケーン活動や北アメリカ、ヨーロッパ、北アフリカにおける地表面温度と降水の変動である。これらの数十年規模の変動は、海洋の現在の状態がわかればおそらく予測できるが、海洋の亜表層の観測が不足し海洋の状態を絞り込めていないことが制限要因となって、このような予測を行う技術の能力が十分に発揮されていない。本論文では、海面温度(SST)の観測のみを用いる簡単な方法によって、この困難を部分的に克服し、気候モデルを用いて、10年スケールの後ろ向き予測を行った。海洋状態に関する不完全な知識に基づく予測と比べると、特に北大西洋と熱帯太平洋において、予測能力が顕著に改善された。したがって、これらの結果は、10年スケールの気候予測が日常的に行えるようになる可能性を示している。この方法を用いて、気候システムに内在する自然変動と見積もられる将来の人為起源強制力の両方を考慮すれば、以下のことが予測される。すなわち、次の10年間で、現在みられる大西洋の子午面循環は長期間の平均値まで弱まり、さらに、北大西洋のSSTおよびヨーロッパと北アメリカ大陸の地表温度が幾分低下するが、一方で、熱帯太平洋のSSTはほとんど変化しない。今回の結果は、北大西洋と熱帯太平洋の気候の自然変動によって、予想される人為起源による温暖化が一時的に相殺されて、全球地表温度は次の10年間にわたって上昇しない可能性を示唆している。

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