Letter 地球:北極の上部マントルにみられる「南半球」の地球化学的特徴の成因 2008年5月1日 Nature 453, 7191 doi: 10.1038/nature06919 北極の氷冠の下で約1,800 kmにわたって広がるガッケル海嶺は、地球上で最も拡大速度が遅い海嶺である。この海嶺が広がることで、北アメリカ、ユーラシア、ロモノソフ海嶺によって他の海洋マントルから隔離されているユーラシア海盆が形成された。したがってガッケル海嶺によって、北極下のマントル組成とマントル不均質性および海洋底拡大速度の下限値における溶融について研究する類のない機会が得られる。2001年北極大洋中央海嶺調査により得られた最初の結果から、ガッケル海嶺は「まばらなマグマ活動域」で区切られた、西側と東側の活発な火山地域という3つのテクトニス的に異なった部分に分割された。本論文では、拡大軸から得られた玄武岩のSr-Nd-Pb同位対比と微量元素に基づいて、まばらなマグマ活動域にはマントル組成が急激に変化する境界があることを示す。境界の西側の玄武岩は南半球の「デュパル同位体地域」と似た特徴を示しているが、ユーラシア大陸に最も近く拡大速度が最も遅い東側の玄武岩は「北半球」の海嶺に似た特徴を示している。西側の地域は、デュパル地域に似た特徴をもつ重要な上部マントル地域の試料を与える、南半球以外で知られている唯一の拡大海嶺である。デュパルマントルの成因については長い間論議がなされてきたが、ガッケル海嶺西部の下でみられるこの特徴の原因は、薄い層に分離して、対流する北極のアセノスフェアに統合された大陸下のリソスフェアマントルであることがわかった。これは北大西洋のマントルが北極方向へ拡大し、スバールバル諸島とグリーンランドを分離したときに起きた。 Full Text PDF 目次へ戻る