Letter tRNA合成酵素の別々のドメインが同じ塩基対を認識する 2008年1月3日 Nature 451, 7174 doi: 10.1038/nature06454 誤りを含んだタンパク質の合成(誤訳)は、アミノアシル転移RNA合成酵素が同族のtRNAを正確にアミノアシル化することと、時折起こるアミノアシル化の誤りを編集反応で修正する能力をもつことによって防がれている。誤訳の主要原因は、アラニンの代わりに誤ってグリシンかセリンを取り込むことで、誤りは細胞や動物の神経変性を含む重い病変につながりうる。アラニルtRNA合成酵素がtRNAをアミノアシル化する際、目印となるのはたった1つの特異的なG・U塩基対(G3・U70)である。誤訳は、G3・U70を含むtRNAにグリシンかセリンが結合された場合に起こり、誤って結合されたアミノ酸が編集により取り除かれることで防がれる。以前は、編集の際のtRNAAla認識の特異性は、アミノアシル化の際に用いられるのと同じ構造決定基が担うと考えられていた。今回我々は、人工的な組み換え断片として調製したアラニルtRNA合成酵素の編集部位が、誤って結合されたtRNAAlaを、アミノアシル化とは無関係の構造モチーフを用いて標的化することを示す。したがって、意外にも、同じ酵素の中にアミノアシル化用と編集用の2つのモチーフが存在して、それぞれ独立にtRNAAla認識のための決定基となっていることがわかった。編集用の構造モチーフは、進化上広く分布している、ゲノムにコードされた天然のタンパク質断片にも見いだされ、これらもやはり誤結合tRNAAlaを認識する。したがって、進化の間を通じて、同じtRNAをもつ3種類の複合体はそれぞれ独立に、アラニンの代わりにグリシンかセリンを誤って取り込むのを防止してきたのである。 Full Text PDF 目次へ戻る