Letter

微生物:極度に好酸性のヴェルコミクロビウム門細菌によるメタン酸化

Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature06411

好気性メタン資化細菌は、土壌や堆積物のメタン発生地帯から拡散するメタンを消費する。このような細菌は大気中へのメタン放出を抑制する生物フィルターとして働いており、地球規模の気候変動への対処法として注目されている。培養されているメタン資化細菌には増殖至適pHが5を下回るものがないが、メタン回転が活発な環境の中には酸性度の極めて高いものがある。本論文では、極度に好酸性のメタン資化細菌で、増殖至適pHが2.0〜2.5であるものについて報告する。これは既知のメタン資化細菌と異なり、プロテオバクテリア門ではなく、遺伝子型が不明な未培養種で主として構成される広汎で多様な細菌門であるヴェルコミクロビウム門に属する。概要ゲノム配列の解析では膜結合型メタンモノオキシゲナーゼをコードする遺伝子が見いだされ、これは、メタン資化性のプロテオバクテリアにみられる遺伝子と相同であった。しかし、メタノールやホルムアルデヒドの酸化にかかわる既知の遺伝子モジュールは不完全であったり欠如したりしており、この細菌が何らかの新たなメタン資化経路を用いていることが示唆された。その3種類のpmoA遺伝子(膜結合型メタンモノオキシゲナーゼのサブユニットをコードする)は、系統発生解析からプロテオバクテリアのホモログとは別の一群に分類された。このことは、ヴェルコミクロビウムとプロテオバクテリアは、古代に分岐したメタン資化細菌であり、メタン資化能力が最近になって水平遺伝子伝播したのではないことを示している。この知見は、細菌のメタン資化性が分類学、生態学、および遺伝学的に、これまで考えられていた以上に多様であることを示しており、従来の研究では酸性環境中にあるメタン資化細菌がもつ多様性の全貌が完全に評価されてはいなかったことがわかる。

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