Article 生化学:酵素反応軌跡に沿った固有の運動 2007年12月6日 Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature06410 酵素が反応の加速と特異性を並外れて高くする機構は、長年にわたって生化学の重要な関心事項である。一般には、基質の結合が基質-酵素複合体のコンホメーション変化につながって反応基が最適な環境に配置され、効率的な反応が起こると考えられている。化学的な反応機構は多くの酵素について解明されているが、酵素がどのようにして触媒に適格な状態をとるかという疑問には、最近になってようやく実験と計算によって取り組めるようになった。今回我々は、リガンド非結合形の酵素アデニル酸キナーゼにおいて、触媒適格な「閉じた」状態に向かう軌跡に沿ってコンホメーション準安定状態がいくつか存在するという結晶学的な証拠を示す。分子動力学シミュレーションでは、これらの部分的に閉じたコンホメーションがナノ秒スケールで現れる一方、核磁気共鳴と単一分子蛍光共鳴エネルギー移動では、マイクロ秒からミリ秒の時間スケールで起こる完全に閉じたコンホメーションがまれにみられた。このように、基質非結合のアデニル酸キナーゼの大規模な運動はランダムではなく、巧妙な化学反応を起こせるような立体配置を作る経路を選択的にとる。このような選択的方向性はタンパク質の折りたたみにコードされており、多くの酵素の触媒作用に寄与していると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る