Letter

地球:月からの隕石Kalahari 009に記録された43.5億年前の隠れた海の火成活動

Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature06356

月の起源と進化については長い間論争が続いているが、月の進化を論ずる上で最も重要な問いの1つは玄武岩(月の海)の火成活動の開始時期とその継続時間についてである。本論文では、チタン含有量が非常に低い月の海の玄武岩由来の角礫岩と分類されている、月隕石Kalahari 009中のリン酸塩のU-Pb年代をイオンプローブで決定した結果について報告する。玄武岩砕屑物に関連した5個のリン酸塩粒子の局所分析では、年代は43.5±1.5億年となった。この古代のリン酸塩の年代は、母岩である玄武岩マグマの結晶化年代を示していると考えられ、Kalahari 009が最も古い月の海の玄武岩であることを意味する。これまで月の海の玄武岩火成活動は、38〜39億年前の後期重爆撃期(激しい隕石衝突)の後に起こったとされてきたが、今回の結果は、月が形成され分化した後、少なくとも43.5億年前には既に玄武岩火成活動が始まっていたことを示唆する。Kalahari 009に含まれるトリウムや希土類元素などの液相濃集元素の存在度が極端に低いことと、最近のリモートセンシング観測から月の「隠れた海(cryptomare)」はチタン含有量が非常に低い玄武岩質であると考えられることから、Kalahari 009はチタン含有量が非常に低い「隠れた海」からの、初めての試料であると結論できる。

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