Letter 免疫:適応免疫は潜伏癌を平衡状態に保つ 2007年12月6日 Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature06309 免疫が癌を制御したり形成したりする能力、つまり癌の免疫編集(immuunoediting)は、独立に、または連続的に働く3つの過程によって生じる。すなわち、排除(癌の免疫監視。ナイーブな宿主で、免疫は外因性の腫瘍抑制因子として機能する)、平衡(免疫によって形質転換細胞の増殖が抑制された状態にある)、および回避(腫瘍細胞の変異型で、免疫原性が低いもの、あるいは免疫応答を減弱する能力をもつものが、臨床的に明白な癌となる)である。免疫不全マウスは野生型マウスよりも、発癌物質に誘発される癌並びに自然発生癌が発生しやすく、免疫不全マウスから得た腫瘍細胞は、免疫能の正常なマウスの腫瘍細胞よりも免疫原性が高いことから、現在広範な実験によって排除および回避の過程が裏付けられている。これに対し、平衡の過程は主に、臓器提供者から免疫抑制がみられる患者への未発見(潜伏性)の癌の移植についての報告などの臨床観察から推論されたものである。本論文では、原発性の化学発癌マウスモデルを用い、機構的に排除および回避とは識別可能な平衡が生じること、そして、平衡状態にある新生細胞は形質転換を起こすが、in vivoでの増殖はほとんどみられないことを示す。また、平衡状態にある腫瘍細胞は編集されないが、免疫による制御を自発的に回避すると編集されて臨床的に明白な腫瘍になることを示す。今回の結果は、腫瘍細胞の破壊と腫瘍の免疫原性の調整に加え、ナイーブマウスの免疫系は長期間、癌増殖を抑制できることを示している。 Full Text PDF 目次へ戻る