Letter 細胞:コレラ菌の主要なオートインデューサーとそれが毒性因子の生産に果たす役割 2007年12月6日 Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature06284 ヒトのコレラの原因となるコレラ菌Vibrio choleraeは、病原性やバイオフィルムの形成を制御するために細胞間で情報交換を行う。この現象はクオラムセンシング(菌体密度感知機構)として知られ、オートインデューサーと呼ばれるシグナル伝達分子の分泌と検出によっている。菌の密度が低いときには、コレラ菌は毒性因子の発現を活性化し、バイオフィルムを形成する。菌体密度が高いときには、菌体密度を感知する2種類のオートインデューサーが蓄積して、これら2つの性質を抑制する。コレラオートインデューサー-1(CAI-1)とオートインデューサー-2(AI-2)の2つは共同的に働いて遺伝子調節を制御するが、CAI-1の方がより強いシグナルである。コレラ菌のAI-2は、ホウ酸フラノシルジエステルである(2S,4S)-2-メチル-2,3,3,4-テトラヒドロキシテトラヒドロフランボレートである。今回我々は、CAI-1を精製し、(S)-3-ヒドロキシトリデカン-4-オンと同定した。これは新しい種類の細菌オートインデューサーである。また、CAI-1のRおよびSの異性体と簡単な類似体の合成方法を報告し、これらの相対活性を比較する。合成(S)-3-ヒドロキシトリデカン-4-オンは、標準毒性因子TCP(toxin co-regulated pilus)の生産抑制について、天然のCAI-1と同等な活性を示した。これらの知見は、CAI-1がコレラ感染を防ぐ治療に利用できる可能性と、細菌のクオラムセンシングを操作する方法が臨床分野で有望であることを示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る