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生態:攻撃的行動を促進するタンパク質フェロモンの同定

Nature 450, 7171 doi: 10.1038/nature05997

マウスは、同種の生物どうしが放出し、感知し合う、フェロモンと呼ばれる化合物を手掛かりとして、吸乳や攻撃、交尾などの社会的行動を調節している。フェロモンを感知するニューロンは、鼻腔中内の少なくとも2つの器官、鋤鼻器官(VNO)と主嗅上皮(MOE)に存在すると考えられている。各フェロモンリガンドは、これらの感覚ニューロンの特定のグループを活性化すると考えられている。しかし、フェロモンの手掛かりがどのようなものであるかも、それに応答して特定の社会的行動を調節するニューロンがどれかも、ほとんどわかっていない。今回我々は、感覚ニューロンを直接活性化して行動を解析することにより、化学的に異なる少なくとも2種類のリガンドがあれば、雄どうしの攻撃行動が促進され、VNOニューロンが刺激されることを明らかにする。このリガンドの1つを精製、分析したところ、その特異的な攻撃促進作用が主要尿タンパク質(MUP)複合体のタンパク質成分の存在に依存することが判明した。MUP複合体は、有機小分子に結合した特殊なリポカリンタンパク質類からなることが知られている。分離した鋤鼻ニューロン(VN)のカルシウムイメージングにより、MUPタンパク質が活性化するのは、Gタンパク質のGαoサブユニット(Gnaoとも呼ばれる)とフェロモン受容体と推定されるVmn2r(V2R)の発現を特徴とする感覚ニューロンサブファミリーであることが明らかになった。ゲノム解析により、フェロモンシグナル伝達成分の間ではそうであろうと予想される通り、MUPとV2Rの遺伝子数が種特異的に共に増加していることがわかった。さらに、MUPにより誘導される攻撃行動は、VNOニューロン回路を介してのみ起こることを明らかにする。これらの結果から、MUPタンパク質が補助的な(鋤鼻系)ニューロン経路を介して雄どうしの攻撃行動に関与するフェロモンリガンドであるとの仮説が立証された。

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