Letter

地球:15,000年前まで持続した太平洋中央部における完全な氷期状態

Nature 449, 7162 doi: 10.1038/nature06142

最終氷期極大期における大気の冷却程度と現在の間氷期へ移行した時期は、熱帯地域についてはよくわかっていないが、その一因は適切な気候記録を欠くことである。氷河によるモレーンから過去の気温を再構築する手段が得られるが、モレーンは熱帯ではほとんどみられない。本論文では、ハワイのマウナケア火山におけるモレーンの宇宙線起源3He年代と氷冠の数値モデリングに基づいて、太平洋中央部における最終氷期の大気温度を再構築した。マウナケア火山は、最終氷期中に形成されたモレーンが保存されている太平洋中央部で唯一の高地である。再構築結果は、この地域では最終氷期極大期が19,000年前から16,000年前に起きており、高地におけるこの期間の気温が現在よりも約7 ℃低かったことを示している。氷河の後退は約16,000年前に始まったが、気温は15,000年前まで今日よりも約6.5 ℃低いままであった。太平洋中央部における海面水温の推定値と組み合わせると、再構築結果から、最終氷期極大期の気温減率は今日の値よりも大きかったことが示され、これは、当時は大気がより乾燥していたという考えと一致している。さらに、完全な氷期状態が15,000年前まで続いていたことは、グリーンランドでの温暖な気温への変化が比較的遅く、急激であったことと一致しており、最終氷期には太平洋中央部と北大西洋地域で大気のテレコネクション(遠隔相関)があった可能性を示している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度