Letter 進化:副肢をもったカンブリア紀前期の冠分類群甲殻類 2007年10月4日 Nature 449, 7162 doi: 10.1038/nature06138 現生につながる冠分類群甲殻類(真正甲殻類;Eucrustacea)は、オルドビス紀前期までさかのぼる過去5億年の化石記録に広くみられ、カンブリア紀中期の後期やカンブリア紀後期の化石記録も希少ながら知られている。真正甲殻類の化石姉妹群にあたるPhosphatocopinaがカンブリア紀前期の堆積岩から見つかったことは、真正甲殻類の原始的な基幹分類群がいっせいに出現したことを意味しているが、その時期に冠分類群も出現していたかどうかはまだよくわかっていない。「オルステン」型の化石は普通、微小な胚やクチクラをもつ動物である。そのクチクラはリン酸塩化しており、化石が立体的で、柔らかい部分も完全に残っている。こうした化石は、主にカンブリア紀とオルドビス紀で見つかっており、後生動物の初期進化について形態および系統発生に関する詳細な情報をもたらしてくれる。本論文では、中国のカンブリア紀前期層から見つかった、極めて保存状態のよいオルステン型化石群について報告する。この化石群には節足動物の新種が少なくとも3種含まれており、本論文では、極めて良好な状態で保存された複数の成長段階の化石に基づいて、3種のうち最も数の多い種について記載報告する。この新種の肢形態その他の詳細な特徴は、現生のカシラエビ類、鰓脚類、橈脚類の特徴と非常によく似ている。そのことから、この種は真正甲殻類に分類され、したがって、カンブリア紀前期から見つかった初めての確実な冠分類群甲殻類となる。その層序の位置関係は、節足動物が生じた主要な分岐事象がカンブリア紀以前に起こったとする主張の確かな裏付けになる。この新種甲殻類の脚基の外側にある小さい葉状構造は、長らく議論の的となっていた副肢の起源に関する証拠となる。すなわち、副肢は3つ1組で生じ、剛毛に由来し、真正甲殻類の基本パターンとなる特徴の1つである。 Full Text PDF 目次へ戻る