Letter 気候:人間活動が20世紀の降水量の変化傾向に及ぼした影響の検出 2007年7月26日 Nature 448, 7152 doi: 10.1038/nature06025 人間活動が気候に及ぼす影響は、地表面気温や海面気圧、自由大気の温度、対流圏界面の高さ、海洋の貯熱量に検出されてきた。しかし、人間活動が引き起こす変化が全球規模の降水において検出されたことは、これまでなかった。それぞれの地域における降水量の変化が互いに打ち消し合い、全球平均した変化が小さくなることがその理由の1つである。気候モデルでは、人為起源の強制によって全球平均の降水量はわずかに増加し、緯度方向については、高緯度帯において増加し亜熱帯域において減少するという形で降水の再配分が行われ、さらに熱帯域では亜熱帯収束帯の位置が移動することで、降水分布が変化する可能性が示唆されている。本論文では、20世紀に観測された、緯度帯ごとに平均した陸域降水量の変化と、14種の気候モデルによりシミュレートした降水量の変化を比較した。その結果、人為起源の強制が、各緯度帯において観測された平均降水量に検出可能な影響を及ぼしていたことと、これらの変化は気候の内部変動や自然要因による強制では説明できないことが示された。また、人為起源の強制は、観測された北半球中緯度帯の降水増加、北半球亜熱帯域と熱帯域の乾燥化、南半球亜熱帯域と熱帯域の湿潤化に大きく寄与していたと推定された。観測された変化は、モデルによるシミュレーションから見積もられた変化よりも大きく、サヘル地域など、降水の変化に敏感な地域において、生態系や農業、人類の健康に対して既に大きな影響を及ぼしている可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る