Letter

宇宙:分裂した73P/シュヴァスマン・ヴァッハマン第3彗星にみられる組成の均一性

Nature 448, 7150 doi: 10.1038/nature05908

彗星内部にある揮発性の氷の組成に著しい多様性がみられることの原因としては、いくつかの要素が考えられる。それらには、彗星が形成された領域の化学的、熱的および放射的な環境、太陽から遠く離れた貯蔵場所に長期間滞留していた間に生じた化学的進化、そして、こうした貯蔵場所から移動した後の太陽による熱作用過程などの違いが挙げられる。これらの要素の関与の度合いを明らかにするためには、彗星の核中での化学的性質の変動を深さの関数として計測することが重要である。彗星の分裂はそれまで内部に埋もれていた物質を露出させるが、これまでは観測上の制約のために、成長条件の重要性と計測された組成に及ぼす進化過程の影響の評価には限界があった。本論文では、73P/シュヴァスマン・ヴァッハマン第3彗星の2個の破片の化学組成について報告する。これらの破片は、組成が非常によく似ており、彗星の種族全体の化学的多様性とは顕著な対照を成している。また、これらの破片は、短周期彗星では太陽の近傍を何度も通過することによる進化作用のために、核内の深さ方向に沿って大きな組成上の変動がみられるだろうという予測に反している。また、73P/シュヴァスマン・ヴァッハマン第3彗星では、他の彗星に比べて揮発性の氷がほとんどみられない。このことは、カイパーベルトという貯蔵場所からやってくる彗星の一部にみられる炭素鎖を含む化合物の枯渇は、始原的なものであって、進化の結果ではないことを示唆している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度