Letter 生理:Ambra1は自食作用と神経系の発生を調節する 2007年6月28日 Nature 447, 7148 doi: 10.1038/nature05925 自食作用は、広範囲にわたる真核生物でみられる自己分解過程で、細胞成分の基本的な代謝回転と、栄養素欠乏や細胞小器官損傷への応答の両方にかかわっている。自食作用の際には、細胞質の一部がオートファゴソームと呼ばれる二重膜で囲まれた小胞に取り込まれ、リソソームとの融合後に分解されて再利用される。脊椎動物では、神経変性疾患や癌などのようなさまざまな生理的、病理的条件によって、この過程が細胞の生存を促進する方向に働いたり、細胞死を促す方向に働いたりするが、胚発生の際に自食作用が果たす役割はまだほとんど解明されていない。Beclin1(Becn1; coiled-coil, myosin-like BCL2-interacting protein)はオートファゴソーム形成の主要な調節因子であり、これが欠乏すると、胚は発生初期に死んでしまう。本論文では、アミノ末端にWD40ドメインをもつ、これまで知られていなかった大型のタンパク質Ambra1(activating molecule in Beclin 1-regulated autophagy)が自食作用を調節し、胚発生に重要な役割をもつことを示す。Ambra1はBecn1に依存する自食作用プログラムの正の調節因子であることが、過剰発現とin vitroでのRNA干渉実験とによってわかった。特に、マウスの胚でAmbra1の機能が失われると、自食作用の障害、ユビキチン化タンパク質の蓄積、均衡を欠いた細胞増殖、過剰なアポトーシス細胞死が起こり、神経管に重大な異常が生じる。今回の研究によって、自食作用プログラムを調節する重要な因子が新たに同定されただけでなく、自食作用、細胞増殖と細胞死の間に、哺乳類の神経発生に不可欠な複雑な相互作用が存在することを裏付けるin vivoでの証拠が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る