Letter 工学:波長可変なナノワイヤー非線形光学プローブ 2007年6月28日 Nature 447, 7148 doi: 10.1038/nature05921 光の波長よりも短いスケールにおける光技術の重要な課題の1つは、室温かつ生理的環境下において安定に動作し、物理、情報、生物科学で使用可能な波長可変のコヒーレントなレーザー光源の開発である。ファイバー光散乱型プローブを使った最新の近接場光顕微鏡によって最小20 nmに達する空間分解能が既に実現されている。また、最近報告された遠方場光学顕微鏡技術である誘導放出抑制法、構造化した光の照射、光活性型蛍光分子法などは、理論的な空間分解能の限界をもたず、光の回折限界を超えて蛍光色素生体分子複合体の観察を可能にしている。レーザーピンセットを使ったこれまでの研究では、光学トラップを使った新しい空間プローブやセンサーの可能性が示されてきた。一方で無機物ナノワイヤーは、可視光の波長よりもかなり小さい直径をもち、特徴的な電子・光学特性を示すことから、光の波長以下の微小レーザー光源やイメージング技術に理想的と思われる材料である。本論文では、ニオブ酸カリウム(KNbO3)ナノワイヤーを用いた、生理的環境に適応し、電極が不要で、連続的に波長を変化させうるコヒーレントな可視光レーザー光源の開発について報告する。このナノワイヤーは高い効率で第2高調波の光を発生させ、周波数変換素子として機能するだけでなく、和周波発生および差周波発生現象によってさまざまな色の光を局所的に作り出すことが可能である。我々は、この波長可変なナノメートル光源を用いることで、光の波長以下の空間分解能をもつ新しいタイプの顕微鏡を開発した。赤外レーザーを使ってナノワイヤーの光トラップと走査を行うこの手法は、物理、化学、材料科学、生物学など、幅広い分野で応用が期待される。 Full Text PDF 目次へ戻る