Letter 宇宙:酸素が豊富な超巨星おおいぬ座VY星のウィンドにおける化学的な複雑性 2007年6月28日 Nature 447, 7148 doi: 10.1038/nature05905 星間物質は、古い進化した星から放出された物質を主に含んでいる。これらの星からのアウトフロー(噴出流)は球形の外層をつくり、そこではガス相の化学変化が進む。星周殻内の化学的な複雑性は当初、元素状の炭素と酸素の比によって左右されると考えられていた。観測結果からは、酸素よりも炭素の多い外層では、酸素の方が多い外層よりも分子存在度がかなり大きくなることが示唆されている。本論文では、赤色超巨星おおいぬ座VY星(VY CMa)の酸素を豊富に含む殻における分子の観測について報告する。NaClやPN、HNC、HCO+を含む、予想外のさまざまな化合物が発見された。スペクトル線プロファイルから、これらの分子は、別々の3つの運動学的領域、すなわち球形のアウトフロー、非常に狭く絞り込まれ青方偏移した膨張領域、一定方向に向かう赤方偏移したフローで生じていることが区別される。一部の化合物(SiOやPN、NaCl)は、専ら球状のアウトフローに沿って存在するが、HNCと(数ある中で)硫黄を含む分子は2つの膨張領域で選択的に生成されており、これらは恐らく衝撃波に起因する。CO、HCN、CSおよびHCO+は3つの領域すべてに存在する。酸素が豊富な環境にもかかわらず、HCNはCOとほぼ程度存在するらしい。これらの結果は、酸素を豊富に含む殻が、炭素の豊富な殻と同じく化学的に多様である可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る