Article 医学:染色体不安定性を示すマウスの腫瘍は多くのヒトの癌と類似したゲノムの変化を示す 2007年6月21日 Nature 447, 7147 doi: 10.1038/nature05886 癌ゲノムに高度な再配列や変異があると、腫瘍化のプロセスを推し進める病因的な事象を明らかにする上で大きな障害となる。本論文では、染色体不安定性を示す、リンパ腫を起こしやすいマウスを作製して、癌遺伝子の発見におけるマウスモデルの有用性を評価し、癌に関連するコピー数の異常における異種間のオーバーラップがどの程度かを調べた。標的を定めた塩基配列の再決定とともに、癌ゲノムの比較研究を行った結果、FBXW7とPTENが、マウスのリンパ腫とヒトT細胞性急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-ALL)の両方でともに欠失していることが確認された。マウスの癌では、ヒトT-ALLだけでなく、多くのヒトの造血器系、間葉系および上皮系腫瘍でみられるものと相同な領域で広汎に反復性の遺伝子増幅や欠失が起こっている。これらの結果は、マウスとヒトの腫瘍は、オーソロガス遺伝子の変化に起因する共通の生物学的プロセスを経て悪性化してきたことを示している。このように遺伝子変化に高度な一致がみられることから、ゲノム不安定性を示すマウスの癌モデルは、ヒト癌ゲノムにおける生物学的な癌化誘発過程の発見に有用であると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る