Letter 視覚:微小眼球運動は空間のディテール知覚を増強する 2007年6月14日 Nature 447, 7146 doi: 10.1038/nature05866 我々の目は常に動いている。注視の最中でさえ、小さな眼球運動が注視点を絶えず小刻みに変動させている。網膜上の像の動きを実験的に止めてしまうと、視覚認知が低下する傾向があることが知られている。しかし、自然な視覚活動中に、注視時の眼球運動が視覚像の消失を防ぐ機能の他にも機能をもつのかについては、長く議論が続いている。この研究では、自然な像と似たパワースペクトルをもつノイズで像を隠したとき、格子模様の判別に注視時の眼球運動が影響を与えるかどうかをヒト被験者で解析した。網膜像を固定する新たな方法を用いて、注視と注視の間の眼球運動に通常起こる網膜上の像の動きを選択的に除いた。その結果、注視時眼球運動は、高い空間周波数の刺激についての判別を改善するが、低い空間周波数の刺激には効果がないことがわかった。この改善効果は、注視時眼球運動が網膜への視覚入力に導入する時間的調整に由来するもので、これによって空間周波数の高い高調波成分が強調される。低空間振動数成分が主体である自然の視覚世界にあっては、視覚系が空間のディテールについての処理を増強する上で、注視時眼球運動は効果的なサンプリング戦略を構成しているようである。 Full Text PDF 目次へ戻る