Letter 物性:高温超伝導体Bi2Sr2CaCu2O8+δにおける原子スケールでの対形成の視覚化 2007年5月31日 Nature 447, 7144 doi: 10.1038/nature05881 従来の超伝導体における電子のペアリングは、超伝導転移温度Tc以下で起こり、電子状態密度(DOS)にエネルギーギャップΔが生じる。高温超伝導体では、Tcを超える温度においてもDOSに不完全なギャップが存在する。重要な疑問は、Tcを超える温度でのDOSギャップがペアリングと関係があるのか、また、インコヒーレントな対が形成される温度を決めるものは何かというものである。今回我々は、高温超伝導体におけるギャップ形成を初めて空間分解した測定を報告する。測定は、異なるTcをもつ複数のBi2Sr2CaCu 2O8+δサンプル(正孔濃度は0.12〜0.22)について、走査トンネル顕微鏡を用いて行った。0.16から0.22までの広いドーピング幅にわたって、Tcを超える温度では、ナノスケール領域においてペアリングギャップが核状に点在することを見いだした。温度が下がるにつれて、これらの領域は増加し、結果として超伝導状態においてギャップサイズに空間分布が生じる。その不均一性にもかかわらず、各ペアリングギャップが局所的に発達する温度Tpは、2Δ/kBTp=7.9±0.5という関係式に従うことがわかった。非常に低いドーピング濃度(≤0.14)におけるDOSの系統的変化は電子ペアリングと無関係で、おそらく電子ペアリングと競合する別の現象の存在を示唆している。我々が観察したナノサイズのペアリング領域は、正孔ドープ系銅酸化物高温超伝導体におけるTcを超える温度での超伝導応答の揺らぎに関する最近の報告を理解するために必要な微視的基礎情報を提供するものである。 Full Text PDF 目次へ戻る