Letter 進化:酵母での分岐適応と拮抗的エピスタシスによる初期の種分化 2007年5月31日 Nature 447, 7144 doi: 10.1038/nature05856 生殖的隔離と種分化の進化を促進する条件を明らかにすることは、進化生物学の長年にわたる目標の1つである。生態的種分化では、分岐選択(divergent selection)とその結果として起こる環境特異的適応の副産物として、個体群間に生殖的隔離が生じる。生殖的隔離の有力な遺伝的モデルでは、雑種の適応度低下(inferiority)は、相互作用する遺伝子座での不適合な対立遺伝子間の拮抗的エピスタシスによって起きると予測されている。分岐適応(divergent adaptation)と生殖的隔離の間には遺伝的不適合を介した重要な関連があると推測されているが、実験によって直接実証されてはいない。今回我々は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の実験個体群において種分化の初期段階を生じさせて、種分化理論の中心となる予測を実験的に検証した。2つの異なった環境に同型個体群が適応した後、雑種には常に2つの型の接合後隔離が進化するのが観察された。すなわち、有糸分裂生殖の頻度低下と、減数分裂生殖の効率低下である。この分岐選択の結果、生態的種分化理論で予測されるように、平行選択(parallel selection)よりも生殖的隔離が大きくなった。今回の実験系では、生態的隔離と遺伝的隔離の相対的な重要度の対照比較が可能であり、雑種の適応度低下が基本的に生態的、遺伝的の両方またはいずれか一方でありうることが実証された。総体的に今回の結果から、異なる環境への適応が拮抗的エピスタシスを介して生殖的隔離の進化を促すことが明らかになり、自然界における種分化と適応放散への一般的道筋を示す証拠が得られた。 Full Text PDF 目次へ戻る