Article 物理:半導体ナノ結晶における単一励起子光学利得 2007年5月24日 Nature 447, 7143 doi: 10.1038/nature05839 ナノ結晶量子ドットは良好な発光特性をもつ。量子ドットは高い量子収率の光ルミネセンスを示し、その発光色は、量子閉じ込め効果のため、ナノ結晶サイズに依存し、したがって調整可能である。しかし、ナノ結晶は光増幅とレーザー発振に使うのは難しい。単一の電子-正孔対(励起子)で励起したナノ結晶の吸収と誘導放出はほぼ厳密に釣り合うため、光学利得は少なくとも2個の励起子を含むナノ結晶でのみ起こる。しかし、光増幅のこのような多重励起子を必要とする性質のために、1個の励起子がエネルギーを他の励起子へ渡して再結合する無放射オージェ再結合によって光学利得が急速に減衰するという面倒な事態が生じる。本論文では、このオージェ減衰の問題を解決し、単一励起子領域で光学利得を得る実際的な方法を実証した。特にコア/シェルヘテロ-ナノ結晶を開発し、電子と正孔がコアとシェルに空間分離されるようにした(タイプIIヘテロ構造)。その結果起こる負電荷と正電荷の不均衡が強い局所電場を発生し、この電場で、単一励起したナノ結晶のルミネセンス線から吸収スペクトルの巨大な(〜100 meV以上の)過渡シュタルクシフトが生じる。この効果によって吸収と誘導放出との厳密な釣り合いが壊れ、単一励起子による光増幅を実証することが可能になる。 Full Text PDF 目次へ戻る