Letter 気候:エルニーニョと西アフリカのモンスーンにより制御された過去5,000年間にわたる強いハリケーン活動 2007年5月24日 Nature 447, 7143 doi: 10.1038/nature05834 ハリケーンの形成、強さ、進路を制御する過程はよく解明されていない。人為起源の気候変化に起因する海面水温の上昇によって強い熱帯低気圧の頻度が増加したとする説が提案されたものの、強い熱帯低気圧の計測機器による観測記録はまだ始まったばかりで短く、活動の変化傾向を明らかにするには信頼性を欠くために、この説は疑問がもたれていた。沿岸域の礁湖の堆積物に保存された暴風雨による堆積物は、過去のハリケーン上陸の記録を100年から1,000年のスケールで保持しているため、気候条件とハリケーン活動の関係をより長い時間スケールで調べることが可能になる。本論文では、強いハリケーンの上陸に伴う粗粒堆積物を含むカリブ海の礁湖から得られた堆積物コアに基づいて、北大西洋西部における強いハリケーン活動の過去5,000年にわたる記録を示す。この記録は、強いハリケーンの上陸の頻度が、この期間中に100年から1,000年の時間スケールで変動したことを示している。堆積物記録と古気候記録との比較から、この変動がおそらくエルニーニョ/南方振動の変動や西アフリカのモンスーンの強度変動に伴う大気動態により調節されていたことが示され、強いハリケーンの頻繁な発生を維持するには現在と同じくらいの高い海面水温は必ずしも必要とされないことが示唆される。したがって、強いハリケーン活動における変化を正確に予報するには、エルニーニョ/南方振動や西アフリカのモンスーンの強度が将来の気候変化に対して応答する仕組みの解明が重要である。 Full Text PDF 目次へ戻る