Letter 遺伝:単一遺伝子の頻度依存型選択による行動の多型の維持 2007年5月10日 Nature 447, 7141 doi: 10.1038/nature05764 自然選択がある中で遺伝的差異が多数存在する理由の説明は、進化生物学における中心的な問題の1つである。遺伝的多型は突然変異によって絶えず生じていて、大半はすぐに除去されるが、機能的に重要な形質にも多型は広くみられる。多型の維持を可能にする機構の1つが、複数の対立遺伝子に対してかかる負の頻度依存型選択であり、これによって各対立遺伝子の頻度が高くなるとその遺伝子の適応度は低下する。頻度依存型選択の例、特に、選択を受けている表現型の遺伝的基盤が調べている例は非常に珍しい。今回我々は、ショウジョウバエの採餌行動に影響する、よく知られた天然の遺伝的多型に、頻度依存型選択がみられることを明らかにする。低栄養状態で成長させた場合に、foraging遺伝子の天然に存在する2つの対立遺伝子(forsとforR)はどちらも、頻度が低いときに適応度が最大になるが、これは負の頻度依存型選択の特徴である。こうした作用は栄養源が豊富になると消失することから、幼虫の競争がかかわっているのは明らかである。rover対立遺伝子を背景とした場合に、sitterに類似した変異対立遺伝子が天然のsitter対立遺伝子と同様の頻度依存型適応度を示したことにより、foraging遺伝子の関与が確認できた。今回の成果は頻度依存型選択の明白な例であり、この作用は、行動に影響することが知られる単一の天然の多型性遺伝子に起因すると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る