Letter 視覚:画像統計量と表面の質感の知覚 2007年5月10日 Nature 447, 7141 doi: 10.1038/nature05724 我々を取り巻く世界は表面に満ちあふれており、我々は表面を見るだけでその材質を判断できる。色や光沢といった性質は、ホットケーキが焼けているか、歩道の一部が凍っているかといった判断に役立つ。表面の見え方について行われたこれまでの研究の多くは、テクスチャーも光沢もない表面ばかりを考察してきたが、最近は、光沢や複雑な中間スケールの空間構造をもつ、現実世界にあるような表面に対して次第に関心が集まりつつある。そのような表面の見え方は、照明、反射や表面の形状の複雑な相互作用で決まり、できあがった一枚の画像からそれらの要因を分離することは難しい。しかし、表面の性質の判定に役立つような簡単な画像統計量があるとすれば、それを使うのが賢明といえよう。この論文では、輝度ヒストグラムの歪度やサブバンドフィルター出力の歪度が、表面の光沢と相関し、表面のアルベド(拡散反射率)と逆相関していることを示す。ヒトはこの歪度(もしくは類似のヒストグラムの非対称性)を用いて、表面についての判断を下しているという証拠が得られた。ある表面の画像が正にゆがんだ統計量をもつ場合、歪度が小さな類似の表面と比較して、暗くかつ光沢がある画像のように見える傾向がある。これは、原画像が本来もっていた歪度であっても、画像をデジタル加工して操作した歪度であっても同様である。また、ゆがんだ統計量をもつパターンに順応すると、その後に見る表面の見かけの明るさや光沢が変化することがあるという、歪度に基づいた視覚的残効も見つかった。これらより、画像ヒストグラムの歪度を感知する神経機構が存在し、その出力が表面の性質判定に用いられていることが示唆される。 Full Text PDF 目次へ戻る