Letter 細胞:ペプチド結合の形成がリボソームとシャイン・ダルガーノ配列の結合を不安定にする 2007年3月22日 Nature 446, 7134 doi: 10.1038/nature05625 リボソームは、メッセンジャーRNAに含まれる遺伝暗号をアミノ酸配列へと翻訳する分子機械で、転移RNAの選択、ペプチド結合の形成と転位というサイクルの繰り返しによってこれを行う。本論文では、1個のリボソーム複合体とmRNAとの間で働く破断力を、光ピンセットを用いて測定する方法を報告する。シャイン・ダルガーノ(SD)配列は、細菌mRNAのコード領域のすぐ上流にみられる翻訳開始にかかわる配列で、強力なSD配列をもつmRNAともたないmRNA上にリボソーム複合体を集合させた場合の破断力を比較した。SD配列を取り除くと、A部位にアミノアシルtRNAの1つPhe-tRNAPheが結合した複合体の破断力が著しく小さくなった。このことから、ペプチド結合形成前にはmRNA上のリボソーム複合体の安定性にSDとの結合が大きく寄与していることがわかった。これに対して、A部位にペプチジルtRNA類似体であるN-アセチル-Phe-tRNAPheが存在する状態、すなわちペプチジル基の転移後を模した状態では、Phe-tRNAPheとの複合体に比べて破断力が弱くなり、SD配列を含むmRNAの場合も、含まないmRNAの場合も破断力は同じになった。これらの結果から、1つ目のペプチド結合の形成によってSDの結合が不安定になり、その結果リボソームがmRNAをつかむ力が弱くなることが示唆される。これは、最初の転位段階でリボソームがmRNA上を簡単に移動できるようにするための重要な条件なのかもしれない。 Full Text PDF 目次へ戻る