Letter 進化:モデル的な適応放散において競争と捕食が多様化に及ぼす影響 2007年3月22日 Nature 446, 7134 doi: 10.1038/nature05599 生物多様性の多くは、1つの系統が生態的・形態的に異なるさまざまな種へ急速に多様化する適応放散が連続的に繰り返されることで生じたと考えられている。多様化の過程を推進する機構は資源競争と捕食だと考えられているが、前者のほうが後者よりもよく調べられている。今回我々は、原生生物Tetrahymena thermophilaによる捕食が、被食者である細菌Pseudomonas fluorescensのモデル的な適応放散でみられる多様化にどのような影響を与えるかを調べた。ニッチに特化した競合する被食者の頻度依存的な適応度関数を捕食の存在下と非存在下で推定し、これらを用いて、多様化の程度(新たな遺伝子型の数で計測する)と速度についての仮説を検証した。競争と捕食は、それぞれ独立に多様化選択を生み出し、被食者の多様化を同程度まで推進させることができるが、その速度は異なり、多様化は捕食者が存在することで著しく遅延した。この遅延の原因は、捕食で生じる被食者密度の低下による多様化選択の弱体化である。我々の結果は、適応放散の推進において捕食がこれまで考えられていた以上の役割を演じている可能性を示唆している。 Full Text PDF 目次へ戻る