Article 植物:非対称細胞分裂の停止と気孔の分化 2007年2月1日 Nature 445, 7127 doi: 10.1038/nature05467 気孔は一対の孔辺細胞からなり、植物と大気の間でのガスおよび水蒸気の交換を行っている。気孔の前駆細胞であるメリステモイド細胞は一過的な幹細胞としての性質をもち、非対称分裂を複数回繰り返してから、さらに分化する。本論文では、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックス(bHLH)タンパク質MUTEが、メリステモイド細胞の運命を変える重要なスイッチであることを示す。MUTEがない場合、メリステモイド細胞は過剰に非対称分裂を繰り返した後に発生を停止し、気孔に分化しない。MUTEが恒常的に過剰発現すると、表皮全体が孔辺細胞で覆われるようになる。MUTEには、孔辺細胞の形態形成の調節因子であるFAMA、およびSPEECHLESS(SPCH)という2つのパラログが存在する。我々は、SPCHが気孔細胞系列への分化が開始される最初の非対称分裂を制御していることを明らかにした。SPCH、MUTEおよびFAMAの各bHLHタンパク質は、分化開始、メリステモイド細胞分化、および孔辺細胞形態形成という連続した3段階で順次作用して気孔の発生を制御している。今回の知見は、近縁のbHLHタンパク質が動物と植物の細胞分化で担う役割をはっきり示している。 Full Text PDF 目次へ戻る