Letter 生態:生息地改変は熱帯でみられる寄主-捕食寄生者の食物網構造を変化させる 2007年1月11日 Nature 445, 7124 doi: 10.1038/nature05429 自然の生息地が世界規模で農地に転換されることで、種の多様性や構成は大きく変化してきた。しかしながら、生息地改変が種間相互作用にどのよう影響するのかは明らかでない。食う・食われるという相互作用のネットワーク(食物網)は、生態的群集の基礎となる構造を記述するものであり、群集構造の安定性や機能と極めて密接に結びついている可能性がある。今回我々は、5つの熱帯性生息地タイプにわたり、樹洞営巣性ハナバチと狩りバチ、およびその捕食寄生者について48個の量的食物網を解析した。その結果、改変度の勾配に沿って、種の豊かさには違いがほとんど見いだされなかったものの、食物網構造が大きく変化することがわかった。相互作用頻度の均一性は、生息地改変に伴い低下し、集約管理されている農地環境では、ほとんどのエネルギーが1つもしくは少数の経路を流れていた。改変された生息地では寄主に対して捕食寄生者の割合が高く、寄生率が上昇していた。これは、寄主であるハナバチや狩りバチが行う花粉媒介や生物的防除のような、重要な生態系サービスにかかわってくる。最も数の多い捕食寄生種は改変生息地への特化の度合いが高く、代替寄主への寄生率は減少していた。従来の群集記述法では、生息地間の差異を十分に示すことができず、種間相互作用を記述・定量化しない研究では生態的群集の構造と機能の揺らぎが見過ごされていた可能性が示唆される。それゆえ、変化した相互作用構造は、人類による生息地改変がもたらす、機能的に重要でじわじわと効いてくる隠れた影響を表していることになる。 Full Text PDF 目次へ戻る