Letter 細胞:Hsp70はカスパーゼ-3によるGATA-1の切断を防止して赤血球生成を調節する 2007年1月4日 Nature 445, 7123 doi: 10.1038/nature05378 カスパーゼ-3は、ヒト赤芽球系前駆細胞の最終分化およびエリスロポエチン欠乏が誘導するアポトーシスのいずれの際にも活性化される。転写因子GATA-1は、赤芽球のプロモーターと抗アポトーシス遺伝子を正に制御することにより赤芽球の分化に重要な機能を果たす因子であり、エリスロポエチン欠乏または細胞死受容体Fasの働きによって細胞死を起こす赤芽球系前駆細胞では、カスパーゼによって切断される。これに対し、Epoの刺激により赤芽球系前駆細胞が最終分化する際には、GATA-1は切断されないが、その機序は不明である。本論文では、分化の際にはシャペロンタンパク質Hsp70がカスパーゼを介するタンパク質分解からGATA-1を保護するが、アポトーシスの際には保護しないことを示す。カスパーゼ活性化開始にあたって、最終分化段階にある赤芽球系前駆細胞の核ではHsp70はGATA-1と共局在してこれと相互作用する。これに対し、エリスロポエチン欠乏は、Hsp70の核外輸送およびGATA-1の切断を誘発する。in vitro解析では、Hsp70はそのペプチド結合ドメインを介して、カスパーゼ-3によるタンパク質分解からGATA-1を保護する。エリスロポエチン存在下で培養した赤芽球系前駆細胞でRNA干渉によってHsp70含有量を低下させると、GATA-1の切断、ヘモグロビン量の低下、抗アポトーシス性タンパク質Bcl-XLの発現低下、そしてアポトーシスによる細胞死が引き起こされる。この影響は、カスパーゼ耐性をもつGATA-1突然変異体の形質導入により阻止される。したがって、最終分化過程にある赤芽球系前駆細胞では、活性化したカスパーゼ-3がGATA-1の切断によるアポトーシスを誘導するのをHsp70が妨げている。 Full Text PDF 目次へ戻る