Letter 細胞:古細菌Ferroplasma acidiphilumの細胞装置には鉄を含むタンパク質が多い 2007年1月4日 Nature 445, 7123 doi: 10.1038/nature05362 Ferroplasma属は、生物の系統樹の大きな3本の枝の1つである古細菌に属し、知られているかぎりで最も好酸性の高い微生物を含むテルモプラズマ目(ユーリ古細菌)の一角を占めている。Ferroplasma属種は、酸性鉱山廃水や酸性の水たまりなど、黄鉄鉱など金属硫化物の鉱石を含み、第一鉄化合物などの重金属が多いpH 0〜2の酸性環境に生息している。F. acidiphilumのYT株は、増殖の至適pHが1.7の化学合成独立栄養生物で、二酸化炭素を固定して第一鉄および炭素を酸化することによりエネルギーを獲得する。今回我々は、F. acidiphilumの細胞タンパク質のうち検討した189種類の86%が鉄を含む金属タンパク質であることを示す。その中には、構造的、シャペロン、および触媒の機能をもつと推測されるが、過去に調べられたほかの生物では鉄を含む金属タンパク質として記述されていないものが含まれている。これらのタンパク質中の鉄原子は、三次元構造をまとめ上げて安定化させる「鉄のリベット」として機能していると考えられる。系統発生的に近いPicrophilus torridusおよび生息環境が近いAcidithiobacillus ferrooxidansのタンパク質の解析では、金属タンパク質ははるかに少なく、典型的なものしか認められなかった。このことから、F. acidiphilumは、今日では珍しく鉄タンパク質の多い細胞装置を備えており、生化学的に独自の系統であると言える。 Full Text PDF 目次へ戻る