Letter

βターン中の水素結合の動態を過渡2次元赤外分光法で観察

Nature 444, 7118 doi: 10.1038/nature05352

X線結晶解析と核磁気共鳴測定により、構造が原子レベルで解明された生体分子の数は増加する一方である。こうした静的構造をとらえることは生体分子の機能を理解するために重要だが、実際の生体分子は、自らの機能を果たすためにコンホメーション変化や一時的分子相互作用を頻繁に行う動的な存在である。核磁気共鳴法は、そのような構造変化を追跡できるが、非平衡条件下ではミリ秒の時間スケールでしか追跡できない。近年、時間分解X線構造解析を用いてミオグロビンからのCOの光解離をナノ秒以下の時間スケールで追跡した例があるが、幅広い応用はまだむずかしい。これに対して、2次元赤外分光法は分子集団間の振動カップリングを測定し、それらの相対的な位置と配向をマッピングする手法であり、最近では、ピコ秒スケールで平衡過程を研究するのに日常的に使われている。今回我々は、この手法を非平衡領域に拡張することにより、短いペプチドで分子内水素結合が弱まると同時にβターンが開くようすを実時間観察できることを示す。この過程の速度は、タンパク質側鎖間での接触形成について確立されている「フォールディング速度の上限」よりも2桁速い。

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