Letter 医学:視細胞(光受容器)前駆体の移植による網膜の修復 2006年11月9日 Nature 444, 7116 doi: 10.1038/nature05161 視細胞(光受容器)の欠損は、多くの網膜疾患において不可逆的な失明をもたらす。細胞移植によるこのような損傷の修復は、最も実現可能なタイプの中枢神経系修復の1つである。視細胞の変性では、最初は、内網膜回路は無傷であり、新しい視細胞は網膜地図を形成する単一の短いシナプス結合のみを必要とする。これまでのところ、成体の網膜に移植された脳および網膜由来の幹細胞が、外顆粒層に生着して新たな視細胞に分化するという証拠はほとんど示されていない。さらに、移植細胞がレシピエントの網膜においてほかのニューロンと機能的なシナプス結合を形成することも、視覚機能を回復することも立証されていない。これは、成熟した哺乳類網膜では、幹細胞を受容して生着させる能力、または視細胞への分化を促進する能力が欠如しているためである可能性がある。我々は、個体発生の後期段階で分化が決定された前駆体または前駆細胞では、移植成功の可能性が高いという仮説を立てた。本論文では、発生中の網膜から桿体視細胞発生のピークと一致する時期にドナー細胞を得た場合には、成体または変性進行中の網膜への生着が可能であることを示す。これらの移植細胞は生着し、桿体視細胞に分化してシナプス結合を組織し、視覚機能を向上させる。さらに、転写因子Nrl(neural retina leucine zipper)を発現する遺伝子にタグを付けた有糸分裂後の桿体視細胞前駆体を用いて、我々は、良好に生着した桿体視細胞は、有系分裂後の未成熟な桿体視細胞前駆体にのみ由来し、増殖前駆細胞または幹細胞には由来しないことを示す。これらの知見は、良好な桿体視細胞移植のためのドナー細胞の個体発生段階を明確にするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る