Article 生化学:細菌のABC多剤排出輸送体の構造 2006年9月14日 Nature 443, 7108 doi: 10.1038/nature05155 ABCファミリーの多剤排出輸送体は、さまざまな細胞毒性薬剤を、細胞膜を通過させて運び出すのを促進する。がん細胞が化学療法に使われる薬剤に耐性を獲得することから、これは臨床的にも重要である。この過程の分子基盤を理解するために、我々は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のABC輸送体(Sav1866)の結晶構造を分解能3.0Åで決定した。これはホモ二量体タンパク質で、12本の膜貫通ヘリックスから成り、その配置はヒトの多剤耐性タンパク質MDR1の架橋研究や電子顕微鏡撮像の結果と一致するが、細菌の脂質フリッパーゼMsbAで報告されている配置とは決定的に異なっている。今回観察された外側に開いたコンホメーションは、ATPが結合した状態のもので、2個のヌクレオチド結合ドメインが近接する位置にあり、2個の膜貫通ドメインが中央の空洞を形成している。おそらくこれが薬剤を運び出す経路であり、脂質二重層の内層や細胞質からは隔てられているが、外層や細胞外の空間には触れるようになっている。 Full Text PDF 目次へ戻る