Article 免疫:慢性のウイルス感染中に見られる疲弊したCD8 T細胞での機能回復 2006年2月9日 Nature 439, 7077 doi: 10.1038/nature04444 抗原特異的なT細胞の機能障害は多くの慢性感染の典型的な特徴の1つであるが、その基盤となる機構についてはあまりよくわかっていない。この問題に取り組むため、我々はリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)に慢性的に感染したマウスで、機能が損なわれたウイルス特異的CD8 T細胞に発現する遺伝子群を解析し、機能のあるメモリーCD8 T細胞の遺伝子プロファイルとこれらの遺伝子とを比較した。本論文では、PD-1(Programmed death 1; Pdcd1としても知られている)がこの疲弊したT細胞で選択的に発現上昇していたこと、そしてこの抑制性受容体とそのリガンドであるPD-L1(別名B7-H1)との相互作用を阻害する抗体のin vivo投与によってT細胞の応答性が増強したことを報告する。CD4 T細胞のヘルプが欠如している持続感染したマウスにおいてさえ、PD-1/PD-L1の抑制経路の阻害がその「ヘルプレス」なCD8 T細胞に有利な影響をもたらし、増殖能やサイトカイン分泌能をはじめ、感染細胞を殺し、ウイルス負荷を減少させる能力が回復することがわかったことは注目に値する。CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)を介する抑制経路の阻害は、T細胞機能にもウイルスの制御にも効果を示さなかった。これらの研究はT細胞の疲弊に関する特異的な機序の1つを同定するとともに、慢性ウイルス感染の治療として効果が期待される免疫学的な方法を明らかにするものである。 Full Text PDF 目次へ戻る