Letter 物理:亀裂先端の局所的超弾性による力学的破断の不安定性 2006年1月19日 Nature 439, 7074 doi: 10.1038/nature04408 脆い物質中を伝播する亀裂の速さが増大するにつれて、力学的不安定性によって破断面の粗さが増す。低速で移動する亀裂は原子レベルで平坦な鏡様の表面を作るが、高速になると、より粗くより反射率の低い(「曇った」)面が作られ、ついには非常に粗い不規則的な(「ぎざぎざの」)切子面が生じる。この現象は多数の脆い物質で観察されているが、その基盤にある物理的原理は、長らく議論されているにもかかわらずまだわかっていない。現行の破断理論のほとんどは、応力と変形の間の関係に線形弾性体で見られる法則が成り立つと考えている。しかし現実の固体における応力と変形の関係は、移動する亀裂の先端付近に大きな変形があるために極めて非線形性が高く、こうした性質は超弾性と呼ばれる。本論文では、原子レベルの超並列大規模シミュレーションを行い、不安定性の発生に超弾性が支配的な役割を果たすことを示す。これには、線形弾性的挙動から高度の非線形弾性的挙動までの系統的移行が可能な、簡単な原子レベルの物質モデルを採用した。今回、一般的モデルを提案し、このモデルでは不安定性の発生が、亀裂先端付近の局所的な応力場と局所的なエネルギーの流れに支配されるさまざまなメカニズム間の競合として記述されることを示す。この結果は、このような不安定性が力学的破断に本質的なものであることを示し、議論の的となっているさまざまな実験結果や数値計算結果を説明するのに役立つと思われる。 Full Text PDF 目次へ戻る