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疫学:ウイルス集団では準種の多様性が協力的相互作用を通じて病原性を決める

Nature 439, 7074 doi: 10.1038/nature04388

RNAウイルス集団は1つの遺伝子型からなるのではなく、準種と呼ばれる、ごく似通った塩基配列を持つ個体の集合体である。準種は、RNAウイルスが高い突然変異率で複製していくことでゲノムが急速に進化して生じる。高い突然変異率は、生育不能のウイルス個体を生み出すのでウイルスにとって危険である。しかし、突然変異率が高いと個体群レベルで見て利益をもたらし得るような大量の変異が生じ、それらによってウイルス準種は進化して、感染中に新しい環境や外部からの試練に適応できる見込みが高くなるという仮説が立てられてきた。数理モデルでは、ウイルス準種集団は単なる多様な突然変異体の集まりではなく、相互作用する変異型個体の一群であって、こうした変異型個体が一緒になってその個体群の特性に寄与しているのだと予測されている。この見方によれば、個々の変異型個体ではなくウイルス個体群が、進化における選択の標的となる。今回我々はこの仮説を検証するため、ウイルス個体群のゲノム多様性を制限するとどのような結果になるかを調べた。すると、複製忠実度の高いポリメラーゼを持つポリオウイルスは野生型と同程度の効率で複製するが、生じるゲノム多様性は野生型より少なくなり、有害な生育条件に適応できないことがわかった。感染動物体内では、ウイルス多様性が減少すると、ウイルスの神経向性が低下したり病原性の弱い遺伝子型になったりする。感染前に化学的変異誘発法を使って高忠実度ポリメラーゼを持つウイルスの準種多様性を拡大すると、神経向性や病原性が回復することは注目に値する。脳から単離されたウイルスの解析から、準種の構成個体どうしの補完性を示す直接的証拠が得られ、このことから選択が実際には個々の変異型個体にではなく個体群レベルで起こっていることが示唆される。今回の結果は、準種理論の基本的予測を直接的に実証し、突然変異率と個体群動態と病原性の結びつきを明確に示すものである。

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