Letter 癌:分子標的治療の指針としてのヒト癌発癌経路の特徴 2006年1月19日 Nature 439, 7074 doi: 10.1038/nature04296 発癌状態の進展は、細胞増殖と細胞運命の制御に中心的役割を果たす細胞内シグナル伝達経路の脱制御につながる、独立した多数の突然変異の蓄積を含む、複雑な過程である。DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現的特徴によって、癌の亜型、再発および特定の療法に対する反応性を明らかにできることは、多くの研究で立証されている。発癌経路の解析に遺伝子発現プロファイルを使える可能性も、多くの研究で実証されている。本論文では、いくつかの発癌経路における活性化状態を反映している遺伝子発現的特徴が同定可能であることを示す。多数のヒト癌症例からなる複数の集団で検証したところ、このような遺伝子発現的特徴により、腫瘍での経路脱制御のパターンが同定され、臨床的に予後との直接の関連性が明らかになった。いくつかの経路にわたって遺伝子発現的特徴に基づく予測を組み合わせることにより、特定の癌や腫瘍の亜型によって異なる、経路脱制御の協調パターンが見つかった。経路的特徴に基づいて腫瘍を群分けすると、それぞれの患者集団の予後がさらに明確になり、これは発癌経路脱制御のパターンが癌の表現型進展の基盤であり、特定の癌の生物学的性質と転帰を映しだすことを示している。癌細胞系列での経路脱制御の予測によって、その経路の成分を標的とする薬剤に対する感受性も予測可能とわかった。経路脱制御と経路中の成分を標的とする薬剤への感受性とを結びつけることにより、このような発癌経路の持つ特徴を標的治療の指針として使うことができると考えられる。 Full Text PDF 目次へ戻る