Letter

物理:グラフェンにおける零質量ディラックフェルミオンの2次元ガス

Nature 438, 7065 doi: 10.1038/nature04233

量子力学と相対論が融合してできた量子電気力学によって、素粒子物理学から宇宙論、また宇宙物理学から量子化学までにおよぶさまざまな現象について明快な説明が得られている。量子電気力学の基礎となる概念は凝縮物質の理論にも影響するが、既知の実験系で非相対論的シュレーディンガー方程式によって正確に記述できるものでは、相対論的量子効果は通常極めて小さい。本論文では、電子輸送が本質的にディラック(相対論的)方程式に支配される凝縮物質系(グラフェン、炭素の単一原子層)の実験について報告する。グラフェンの電荷キャリアは、静止質量が零の相対論的粒子によく似ており、c*≈106ms-1なる実効的な「光速度」を持つ。この研究によって、2次元ディラックフェルミオンに特有のさまざまな異常現象が明らかになった。特に、以下のような現象が観察された。第一に、グラフェンの伝導度は、電荷キャリア濃度が零に近づいても、コンダクタンスの量子単位に相当する極小値以下には低下しない。第二は、グラフェンの整数量子ホール効果が半整数のフィリングファクターでも起こるという異常である。そして第三は、グラフェンの零質量キャリアのサイクロトロン質量mcE= mcc*2で記述されることである。この2次元系はそれ自身興味深いだけでなく、これによって机上実験で量子電気力学の微細で多彩な物理的現象の研究が可能になる。

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