Letter

生理:ショウジョウバエのペースメーカーのリセットシグナルが朝細胞と夜細胞の活動を同調させる

Nature 438, 7065 doi: 10.1038/nature04192

概日リズムの基盤となる生化学機械は動物種の間でよく保存されており、分子の自立振動を駆動し、同調していない個々の培養組織細胞の内部にあっても機能している。しかし、高等真核生物の概日リズムを生じさせる神経中心は、相互接続した細胞ネットワークから構成されているのが普通で、このネットワークが周期的行動の強固性や同調性をはじめとする複雑な特性に寄与している。哺乳類では、脳の個々の振動体がどのように編成されて複雑な行動パターンを協調させているのかはほとんどわかっていない。この点に関して、ショウジョウバエは哺乳類よりも解明が進んでいると言えよう。成体の脳では、一群の時計ニューロンが神経ペプチドPDFを発現して朝の活動を制御する(小LNv細胞;M細胞)一方で、別の時計ニューロン群が夜の活動を制御する(CRY+、PDF-細胞;E細胞)ことを、最近我々や他のグループが明らかにした。我々は、朝細胞と夜細胞との概日リズムの周期が異なるモザイクのトランスジェニック・ショウジョウバエを作出した。本論文では、行動の観察と分子レベルでの分析によって、基準となる6群の時計ニューロンが2つの別々の神経回路を構成することを明らかにする。一方の回路は暗期の運動リズムに対してはっきりわかる影響は示さないが、もう一方の回路では夜細胞の分子的また行動的タイミングが朝細胞の性質によって決定される。これは朝細胞から夜細胞へリセットを行うシグナルが毎日送られるために起こる。夜細胞は遺伝的にプログラムされたペースで、連続する2つのシグナルの間で働く。このような神経回路と振動子の共役機構によって、朝と夜の活動時期の適当な時間関係が確実に維持されるのである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度