Letter 進化:環太平洋に分布する鳥類分類群の単一起源とオーストラレーシア域の上流方向への移住 2005年11月10日 Nature 438, 7065 doi: 10.1038/nature04057 大洋に散らばる島々は長年にわたり、生物の多様化を解明するための「天然の実験室」として役立ってきた。とりわけ、熱帯太平洋に散在する多数の島々には他に例を見ない数々の陸上生物群集が生息しており、それらに見られる多様性パターンから、種分化および生物地理学を扱う古典的理論の発展に欠かせない考察が得られてきた。古典的理論の多くの部分は、伝統的な系統分類学の手法から導かれた1つの仮定の上に成り立っている。すなわち、広範囲に散らばったこれらの群島に見られる動物相は、移住生物が大陸から島々へと「下流」に向かう一方通行の単純な流れから生じるという仮定である。今回我々は、この仮定を正当化するのにもともと使われた鳥類の「科」の1つで得られた分子系統解析データを用いて、数々の多様な島固有の属や種が、飛び石方式ではなく、主要な太平洋群島すべてで多様化した1回の放散の産物であり、しかも最近になって大陸域への再移住もあったことを示す。今回の研究の対象となった地理的範囲と系統特異的な手法は、伝統的な分類学調査では長い間把握できなかった進化のパターンを明らかにし、広範囲に散らばった群島が、生物多様性を生み出す源となりうることがうかがわれる。 Full Text PDF 目次へ戻る