Letter 遺伝:ヒトゲノムのタンパク質コード遺伝子の自然選択 2005年10月20日 Nature 437, 7062 doi: 10.1038/nature04240 生物種内でのDNA多型と種間の相違とを比較することによって、進化上制約されている遺伝子の分子適応を発見するとともに、強い浄化選択と弱い浄化選択を識別できる。弱い負のダーウィン選択と正のダーウィン選択が異なる生物種の分子進化を推し進める程度には大きな差がある。例えば、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)などでは広範な正の選択を示す強力な証拠があるが、自家受粉を行うシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)などでは地域集団内に過剰な有害変異が見られる。今回我々は、ヒト39人の1万1000個を超える遺伝子の塩基配列を直接決定することで同定したタンパク質コード配列の多型パターンを、ヒトとチンパンジーの相違点と比較して、ヒトの最近の分子進化は自然選択によって形作られてきたことを示す強力な証拠を得た。分析の結果、正の選択についての情報価値のある3,277遺伝子座のうち304遺伝子座(9.0%)は急激なアミノ酸進化の証拠を示すことを発見した。また負の選択についての情報価値のある6,033遺伝子座のうち813遺伝子座(13.5%)では、ヒトとチンパンジーでのアミノ酸に違いが少ないことがわかった。この813遺伝子座での変異には、弱い負の選択または平衡選択、あるいはその両方が働いていることが示唆される。負の選択や正の選択を受ける遺伝子の分布は、生物過程や分子機能によって大きく異なっており、転写因子などの一部の遺伝子は、非常に早く進化するものが大半を占めるが、細胞骨格タンパク質などでは、ヒト集団でアミノ酸多型が広く見られるのに、ヒトとチンパンジーでの相違は少ない遺伝子が多く存在する。 Full Text PDF 目次へ戻る