Letter 聴覚:哺乳類の不動毛束による力の発生が蝸牛での増幅に役割を果たす 2005年2月24日 Nature 433, 7028 doi: 10.1038/nature03367 哺乳類の聴覚の鋭敏な感受性と周波数弁別には、蝸牛内での音刺激の能動的な機械的増幅が必要だと一般に考えられている。最も有力な仮説では、この増幅はモータータンパク質プレスチンに起因する外有毛細胞の体細胞性の電気的運動によって起こるとされる。つまり外有毛細胞は、音によって誘起された受容器電位に同調して収縮・伸長するのである。しかし、この機構では高周波数の場合に問題が生じる。高周波数においては受容器電位の周期的成分が膜の時定数によって弱められるからである。そこで哺乳類以外の脊椎動物での研究に基づき、不動毛束による力の発生が、これに代わって機械刺激を増強する手段になるとの説が出されている。今回我々は、哺乳類の外有毛細胞の不動毛束もミリ秒以下の範囲で力を発生させることができ、それが機械刺激変換チャネルの順応に結びつくことを明らかにする。不動毛束モーターは最終的にはチャネルの不活性化速度によって限定されるので、理論的には高周波数でも活動し得る。今回の結果は、外有毛細胞にもう1つの力発生機構があって、蝸牛の増幅にかかわっている可能性を示している。 Full Text PDF 目次へ戻る