Letter 動物行動:林冠にすむアリが行う方向性をもった空中降下 2005年2月10日 Nature 433, 7026 doi: 10.1038/nature03254 樹上生活するが飛翔能力のない多数の脊椎動物は、制御可能な降下法(パラシュート式か厳密な意味の滑空式)で捕食者を回避したり資源のありかを見つけたりしており、跳躍や落下の際の方向制御は飛翔の進化において重要な一段階であると考えられている。今回我々は、新熱帯区のアリの一種Cephalotes atratus(膜翅目アリ科)のワーカー(働きアリ)が、方向性をもった空中降下をすることで、落下の間に80%を超える成功率で自分の巣のある木の幹に戻ることを報告する。落下を撮影したビデオテープから、C. atratusのワーカーは急勾配の滑空軌跡を描いて比較的高速度で腹部から先に降下することがわかった。また野外実験により、降下するアリは林床にぶつかる前に視覚的手がかりを使って木の幹の位置をとらえることが示唆された。C. atratusの小型のワーカーや同属の小型のアリでは概して、巣のある木の幹に帰着するまでの垂直方向の距離が大型のワーカーよりも短い。樹上生活をするよく見られるアリ類の調査により、方向性をもった降下はCephalotini属の大部分の種や樹上性のクシフタフシアリ亜科(Pseudomyrmecinae)で見られるが、樹上性のハリアリ類やカタアリ亜科(Dolichoderinae)では見られないことがわかった。今回の報告は、地球上で最も多様な系統である昆虫の、この形の移動方式を力学や生態と関連づけて報告した初めての研究である。 Full Text PDF 目次へ戻る