Letter

生理:出芽酵母のスフィンゴ脂質代謝モデルのシミュレーションおよび検証

Nature 433, 7024 doi: 10.1038/nature03232

生化学的反応経路に関する大規模データは急増しつつあるが、これらを系統立てて整理し、またその構造および調節のさらに進んだ評価を行うためには、数学的モデルが必須の手法となりつつある。このようなモデルのほとんどは、化学量論的解析もしくはフラックスバランス的解析のいずれか、または完全に速度論的なミカエリス−メンテン式による表示、代謝制御解析、もしくは生化学反応系理論を用いて、特定の経路を扱ってきた。これまで速度論モデルの予測が直接的な実験で検証された例はほとんどない。今回、酵母におけるスフィンゴ脂質代謝の生化学反応系理論モデルを実験的に検証した。代謝フラックス、酵素欠失、イノシトール(リン脂質代謝の重要な調節因子)の影響のシミュレーションから、モデル作成後に行われた実験結果とかなりよく一致する予測が得られた。またこのモデルでは、スフィンゴ脂質の脂肪酸前駆体の急激なずれの影響という、直接実験することが困難な条件についてのシミュレーションも可能である。以上の結果は、モデルの構築では検証可能な予測ができるだけでなく、新たなメタボロミクス手法を生み出す可能性のある仮定的な「思考実験」の設計および評価も可能となることを示している。

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