Letter 生態:ミジンコと藻類の捕食者−被食者系では生育段階構造のサイクルが遺伝的多様性を高める 2005年1月27日 Nature 433, 7024 doi: 10.1038/nature03212 競争理論では、個体群の変動は密度依存性の選択と組み合わさったときに遺伝的多様性を促進させる可能性があると予測している。しかし、この安定化の仕組みはこれまでほとんど検証されたことがなく、最近になって、淡水生草食動物であるミジンコ(Daphnia pulex)の自然個体群では、多様性維持の説明づけにならないとして否定された。競争理論が抱える第一の限界は、サイズや生育段階に依存した個体群動態率によって起こる別の型の個体群サイクルを説明できない点にある。ただし、サイズや生育段階といった構造から多くの種の動態の変動を説明でき、なおかつこうした構造が競争の結果を変化させる可能性もある。今回我々は、捕食者−被食者系でこういった別の型のサイクルが自然選択に影響を及ぼすかどうかを初めて実験的に検証して報告する。ミジンコの競争関係にある遺伝子型を使い、内的に生じた生育段階構造のサイクルは、選択の程度を相当小さくする(それにより遺伝的多様性の維持に寄与する)が、外的に生じさせたサイクルは急速な競争的排除を起こすことを示す。この選択における変化は生態的に重要であり、自然個体群で観察される範囲にまたがって見られる。構造を持つサイクルは、幼若体の発生過程の据え置きと生育段階に特異的な死亡率の組み合わせにより選択を小さく抑えると、我々は考える。総体的に適応度を均等化させるようなこの機構によって、自然生態系に見られる遺伝的多様性の維持を説明するのに、強力な安定化機構がさほど必要でなくなる可能性がある。 Full Text PDF 目次へ戻る