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医学:NF-κBは炎症に関連した癌で腫瘍プロモーターとして働く

Nature 431, 7007 doi: 10.1038/nature02924

ヒトの散発性癌の原因が明らかになることは稀であるが、発癌物質への曝露と慢性炎症が発癌の二大要因と考えられており、慢性炎症はヒトの癌の約20%にかかわると推定されている。発癌物質への曝露と癌との関連性は盛んに研究されてきたが、慢性炎症と発癌とを結ぶ分子レベル、細胞レベルの機構は、ほとんど解明されていないままである。我々は、癌で見られることの多い炎症応答の特徴である核因子κB(NF-κB)の活性化が、炎症と癌とを結ぶミッシングリンクではないかと考えてきた。この仮説を検証するためにMrd2ノックアウトマウスで研究を行った。このマウスは胆汁うっ滞性肝炎を自然発症して肝細胞癌へと進行することから、炎症に関連する癌の典型例といえる。Mrd2ノックアウトマウスで肝炎と癌の進行を監視したところ、炎症過程により、隣接した内皮細胞や炎症細胞の腫瘍壊死因子α(TNFα)が増加し、それを介して肝細胞のNF-κBが刺激されることが明らかになったのでここに報告する。肝細胞特異的な誘導性IκBスーパーリプレッサーの導入によって出生時から生後7か月までのマウスでNF-κBを不活性化しても、肝炎の経過には影響が現れず、肝細胞の転換の初期段階も影響を受けなかった。これに対し、抗TNFα処理や発癌後期におけるIκBスーパーリプレッサーの誘導によってNF-κB阻害を抑制すると、悪性転換した肝細胞がアポトーシスし、肝細胞癌への進行が阻止された。したがってNF-κBは炎症に関連した癌の進行に不可欠であり、慢性炎症性疾患における癌の予防に役立つ標的となる可能性がある。

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