Letter 環境:寒帯ツンドラにおける長期肥沃化で減少した生態系炭素貯蔵 2004年9月23日 Nature 431, 7007 doi: 10.1038/nature02887 地球温暖化は高緯度で最も顕著であると予測されており、過去25年間の観測で得られた証拠から、温暖化が既に進行中であることが示唆されている。地球上の土壌炭素プールの3分の1は北半球高緯度地域に貯蔵されているので、北方生態系の炭素収支が気候温暖化に反応するしくみの解明には大きな関心が寄せられている。ツンドラ生態系および寒帯生態系における植物生産力に関する対照標準の観測データを使って、温暖化に対する反応の概念モデルが構築されているが、このようなモデルでは土壌温度の上昇および落葉落枝の分解の増大が利用可能な栄養を増やし、これが植物生産性を高めて生態系の炭素貯蔵を増加させるとされている。本論文では、アラスカのツンドラで実施した長期肥沃化実験で、栄養分の利用可能性の上昇が、20年間にわたって1 m2あたり約2,000 gの生態系炭素の正味の消失を招いたことを報告する。また地表の植物の年間生産量は実験中に倍増したことがわかった。しかし、深部土壌層から失われる炭素および窒素はかなり多く、植物のバイオマスおよび落葉落枝における炭素および窒素の貯蔵増加を相殺してもあまりある。今回の調査から、高緯度帯の温暖化に伴って予測される土壌養分の放出が、土壌からの炭素放出を一層拡大し、生態系炭素の正味の消失、ならびに気候温暖化に対する正のフィードバックを引き起こす恐れがあることがわかる。 Full Text PDF 目次へ戻る